Z方向に水平に位置をずらしたときの動作
Z方向に水平に位置をずらしたときにどの程度までの位置のずれが許容されるかを決定することは
フィルター交換機構上下移動機構を設計する上で非常に重要である。
ここでは、フィルターの大きさと移動箱側、カメラ側のユニットの隙間の大きさから物理的に決まる
リミットまである間隔で移動箱を水平に持ち上げ固定し、テストを行った。
測定には100μの銅板、500μと800μのワッシャーを使い、高さを調整して行った。
なおNikonの図面から物理的に決まるリミットは約1mmである。
100μずらしたとき
1.水平時の動作
(配置図)
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 5.05±0.02 | 4.78±0.11 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 標準状態の水平時移動と比較することにより確実に100μずらしたことによる影響が
若干現れていることが分かる。このときはまだ動作に不安定な点は認められない。
(標準状態水平時移動と同じような動きである)
- 標準状態の水平時移動と同様、右から左行きが不得意である。100μずらしたレベルでは
アクチュエーターの特性を上回るような変化は認められない。
2.左側を40゜あげた時の動作
前節から左側を40゜あげた時はアクチュエーターの不得意な移動方向が同時に上行きの方向で、
このケースが一番厳しいケースと考えられる。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 6.94±0.09 | 3.77±0.07 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 上行きの動作は標準状態に比べて速くなっている?もちろん、測定の誤差、アクチュエーターの特性が
一定していない等の理由で説明できるのかも知れないし、100μずらしたこと+40゜傾けたことが
相補的に何らかの影響を与えたのかも知れない。逆に40゜傾けた時の結果から分かることが
あるかも知れない。
- 40゜傾けた時でも標準時に比べて特に動作に不安定な点は見受けられない。
3.右側を40゜あげた時の動作
前節に比べると少しは楽なケースであると考えられる。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 3.95±0.16 | 6.89±0.11 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 標準時に比べてそれほどの変化がない。前節同様、測定の誤差等で説明できてしまうのかも知れないが。
- 前節の逆に40゜傾けた時の結果と比較すると、上行き時の時間がほとんど一緒になっている。
このことは100μずらしたこと+40゜傾けたことが双補的に何らかの影響を及ぼし、
前節のケースに好影響を本節のケースに悪影響を及ぼした可能性があることを示唆する。
(100μというと機械加工精度の限界に近いためNikonでの制作上の誤差の影響か?
アクチュエーターの得意不得意は100μ程度の制作時の誤差に影響を受けるのだろうか?)
- 前節同様、標準時に比べて特に動作に不安定な点は見受けられない。
4.ひっくり返して水平に置いたときの動作
ひっくり返したときは表の時と全く同じ傾向を示してくれることが期待されるが、40゜傾けたときに
見られたように動作が同じとならない可能性もある。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 4.90±0.09 | 4.66±0.13 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- ひっくり返してもまだ右行きが速いが、右行き左行きの差はだいぶ縮まった。
やはり100μという機械精度程度の値に起因する得意不得意の影響がでたのであろうか?
5.アクチュエーターを上側に置き、40゜傾けた時の動作
これはフィルターが(重力で)アクチュエーターを押すとき(と逆のケース)と移動方向に40゜傾けた時
どちらがどのくらい移動時間を変化させることに支配的であるかを調べるためである。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 5.24±0.11 | 4.92±0.07 |
6.アクチュエーターを下側に置き、40゜傾けた時の動作
説明は前節参照
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 4.89±0.13 | 4.66±0.10 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 移動方向と垂直に傾けることは移動時間を決める上でほとんど効かない。
- 多少違いがあるとすればアクチュエーターが(重力の)下側にあった方が移動時間は短い。
このことからフィルターとアクチュエーターの接触が密である方が望ましい。
-
7.対角線を40゜に傾けた時の動作
前節までに移動時間を決める上での主要因は、重力方向と移動方向の問題であることが分かっていた。
しかしその間はどうなっているのか、重力方向とアクチュエーターとのかみ合わせがカップルして
移動時間を悪くすることがあるのかどうかを調べるためにこの実験を行った。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 6.15±0.05 | 3.88±0.07 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 対角線を40゜に傾けた時の移動時間は移動方向に40゜に傾けた時と
移動方向と垂直に40゜に傾けた時のちょうど中間にあることが分かる。
従って移動時間を決める上で一番厳しいのは、重力方向と移動方向が同じ時である。
以下は安心して重力方向と移動方向が同じ時のみを考える。
-
-
300μずらしたとき
1.水平時の動作
(配置図)
最初2,3回右から左行きが引っかかって動かなかった。
何度か試みた結果通るようになった。
しかし一度通ると後はスムーズに
通るようになった。それ以後の測定値は以下のとおり、
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 4.82±0.10 | 4.41±0.10 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 標準状態の水平時移動、100μずらしたときの水平時移動と比較すると
移動時間が短くなっている。
また初期に動作に不安定な点は認められたことを考えると状況はよく分からない。
2.左側を40゜あげた時の動作
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 7.38±0.20 | 3.88±0.04 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 標準状態、100μずらしたとき、300μずらしたときの順に移動時間が長くなっている。
予想されていた傾向である。
- 40゜傾けた時でも標準時に比べて特に動作に不安定な点は見受けられない。
3.右側を40゜あげた時の動作
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 4.11±0.07 | 7.06±0.11 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 一度引っかかりかけたが何とかクリアしたことがあった。しかしその時以外は
100μずらしたときと同じようである。(若干遅いかもしれない)
4.ひっくり返して水平に置いたときの動作
ひっくり返したときは表の時と全く同じ傾向を示してくれることが期待される。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 5.02±0.08 | 4.73±0.13 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 標準状態、100μずらしたときに比べひっくり返えすことによって移動時間がかかるようになった。
100μ時に比べ300μは機械精度に起因する影響が取り除けたものと考えられる。
500μずらしたとき
1.水平時の動作
(配置図)
測定値は以下のとおり、
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 5.49±0.09 | 4.78±0.06 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 標準状態の水平時移動、100μずらしたとき、300μずらしたときと比較すると
着実に移動時間が長くなってきている。
- しかし左から右行きは移動時間の変化がそれほどない。これは謎だ。
(移動時間を決めるのはZ方向のずれよりアクチュエーターの得意な方向が支配的?
それなら右から左行きの移動時間にもそれほどの変化がないはずだが)
2.左側を40゜あげた時の動作
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 7.94±0.18 | 3.87±0.08 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- タイムは遅くなってきたがまだまだいける。
- 40゜傾けた時でも標準時に比べて特に動作に不安定な点は見受けられない。
(アクチュエーターAに乗るところ、Bを出るところで時間を食う)
3.右側を40゜あげた時の動作
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 4.28±0.08 | 7.44±0.15 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
4.ひっくり返して水平に置いたときの動作
この時最初の5回ほど左から右行きに失敗している。その後は安定して動いた。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 5.72±0.20 | 5.28±0.10 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
800μずらしたとき
1.水平時の動作
(配置図)
測定値は以下のとおり、
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 5.54±0.10 | 4.78±0.08 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 標準状態の水平時移動、100μずらしたとき、300μずらしたとき、500μずらしたときと比較すると
着実に移動時間が長くなってきている。
- しかし意外にしぶとい。800μもずらしたら全然動かなくなるかと思いきやまだまだ動く。
2.左側を40゜あげた時の動作
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 7.91±0.08 | 3.78±0.07 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- タイムは500μずらしたときに比べそれほど遅くなっていない。
- 40゜傾けた時でも標準時に比べて特に動作に不安定な点は見受けられない。
(アクチュエーターAに乗るところ、Bを出るところで時間を食う)
3.右側を40゜あげた時の動作
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 4.19±0.08 | 7.16±0.15 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 左側を40゜あげた時の動作と同じ。500μずらしたときに比べ若干早くなったかもしれない。
理由は謎。
4.ひっくり返して水平に置いたときの動作
この配置で初めてキイキイといやな音を立て始めるようになる。
あまりにいやだったので測定は途中で中止した。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 5.24±0.07 | 5.02±0.13 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 表に比べて移動にかかる時間はそれほど変化しない。
- 音の出所を探ってみたがよく分からなかった。アクチュエーター(orローラー)だと思われるが
詳細不明。
1.6mmずらしたとき
まったく動かなかった。
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