標準状態における動作
1.水平時の動作
水平時の動作はすべて状況を比較する上での基準となるので、テスト中3回測定を行った。
各回の測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 4.91±0.06 | 4.51±0.08 |
2回目 | 4.68±0.06 | 4.53±0.08 |
3回目 | 5.18±0.05 | 5.03±0.04 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 右行き、左行きの移動時間が違うことから、アクチュエーターには得意な方向が存在する。
これはアクチュエーターの取り付けがフィルターの進む向きに対して完全に平行ではないために
右行き、左行きで引っかかり方が違うためと考えられる。
- 測定回毎に平均値は異なる。しかし、測定時刻順に移動時間が大きくなるというわけではなく、
理由はよく分からない。また誤差は測定回毎にそれほど変化はなく、
同じ動作を何回もこなすという点ではよく安定しているようである。
- 右行き、左行きの移動時間がNikonの成績表の値 5.7秒 とはかなり違っている。
これについては現在Nikonに問い合わせ中。
(→回答を頂きました)
- 移動時は移動方向奥のアクチュエーター(A or D)に乗り移るときに一旦動きが鈍くなる。
これはフィルターとアクチュエーターが確実に接触するようにアクチュエーターの取り付けを
工夫しているからである。
- 上記の部分を除けば動作は安定している。(当たり前だが。これで問題があるようでは困ります。)
2.左側を40゜あげた時の動作
前節から左側を40゜あげた時はアクチュエーターの不得意な移動方向が同時に上行きの方向で、
このケースが一番厳しいケースと考えられる。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 7.09±0.15 | 3.77±0.09 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 上行きの動作は厳しい。主に時間がかかる部分は、フィルターの先端がAに最初に当たるとき、
フィルターの先端がBを乗り越えるとき、である。時間はかかるが確実に移動は完了する。
- 測定値はNikonの測定値 9.9秒、4.2秒 に比べ違っている。
3.右側を40゜あげた時の動作
前節に比べると少しは楽なケースであると考えられる。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 3.91±0.10 | 7.03±0.09 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 上行きの動作は厳しい。主に時間がかかる部分は、フィルターの先端がDに最初に当たるとき、
フィルターの先端がCを乗り越えるとき、である。時間はかかるが確実に移動は完了する。
- 測定値はNikonの測定値 9.8秒、4.4秒 に比べ違っている。
- 前節に比べると上行き時は多少移動時間が少なくなっているようであり、水平移動時に見られた
アクチュエーターの得意な方向との相関がある。しかし水平移動時に見られた移動時間の差ほどは
差がない。このことから40゜に傾けたときには重力の影響が支配的であるということがいえる。
- 前節に比べると下行き時の移動時間は異なっている。アクチュエーターの得意な方向との相関は
こちらの方が大きい。
4.ひっくり返して水平に置いたときの動作
ひっくり返したときは表の時と全く同じ傾向を示してくれることが期待される。
(配置図)
測定値は以下のようである。
| 右から左 | 左から右 |
1回目 | 4.95±0.11 | 4.66±0.04 |
以上の測定値から以下のことが分かる。
- 右から左行き(=アクチュエーターの不得意な方向)の移動時間に変化はない。
一方で左から右行きには多少の変化が見られる。この理由としてはひっくり返したことにより
何らかの影響(フィルターとアクチュエーターの当たり方の微妙な変化など?)が生じた
のではないかと考えられる。しかしアクチュエーターに得意な方向があることによって生ずる
右行き、左行きの移動時間の差を逆転させるほど大きいものでないことが分かる。
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