現在のモザイクカメラの1枚の CCD は約 100 万個の画素からできていますが、それらの画素は互いに感度が異なります. したがって生の画像は天体からの (相対的な) 光を正しくあらわしてはいません. この感度むらを補正するのがフラットフィールディングです. なお、各素子はバイアスと呼ばれる一定の ADU 値の `げた' を常にはいているので、画像データの ADU 値は空からの光とバイアスとの和になっています. 一般にはこの他に時間に比例する暗電流と呼ばれるものも補正しなければなりませんが,現在のシステムで2時間以内の露出なら十分無視できます.) フラットフィールディングの際にはこのバイアスの差し引きも行います. したがってフラット後の ADU 値は理想的には入った光に比例しているはずです.
ある CCD の感度むらを補正するにはその CCD で撮った実際のデータを用います. 天体がない部分の空の明るさは CCD の視野程度ならば一定とみなせるので、その部分の CCD の ADU 値のばらつきはバイアスを除けば各素子の感度を表しています. もちろん実際の画像には星や銀河が写っており、それらがある場所では感度むらはわかりません. そこで実際には空の異なった領域を撮った何枚かの画像を統計処理して感度むらを求めています.
基本的には一般的なシングルCCDの処理の方法と同じと考えてかまいません.
フラットフィールドRは一般に人工一様光を撮ったフレーム(ドーム)および,夜空を撮ったフレーム(スカイ)を用いて作ります.
色などの関係からスカイを枚用いてそれらのメディアン平均により,星を取り除いて作るのが望ましいのですが通常は十分な枚数のスカイが撮れないのでドームとあわせて(高周波成分)
(低周波成分)の形で以下のように作ります.
出力ファイルは,これを 元フレームに掛けたものになります.