Suprime-Cam のフィルター

1996/11/22 嶋作

1 サイズ

210 × 180 mm に想定している。この値は、以下の ようにして決めた。
(1) CCD の露光面積
縦 0.015 (mm/pix) × 2048 × 5 + 1 (mm/gap) × 4 (gap) = 157.6 mm
横 0.015 (mm/pix) × 2048 × 4 + 1 (mm/gap) × 1 (gap) = 123.9 mm

(2) フィルターと焦点面との間隔の想定値

FP-窓          10 mm 
窓厚 15 mm
窓-filter   5 mm
filter部   30 mm
合計 60 mm
(3) 最小サイズ
(1) と (2) より、最小サイズは、縦が 157.6 + 60/2 = 187.6 mm、 横が 123.9 + 60/2 = 153.9 mm である。 この値に、縦・横共に 20 mm 強の余裕をつけて、 210 × 180 mm とした。 ここで、60/2 は焦点面からフィルターに至る間に F/2 の光が 広がる分量である。

(4) サイズについての技術的制限
* Schott のガラスは、220 × 220 mm 以上のサイズに なると特別注文扱いになり、納期が大幅に遅れるうえ、値段も 上がる。
* 朝日分光の蒸着釜は、対角線が 285mm 以上のガラスを 扱えない。

これらの制限を無理に超えてまで大きなサイズに する必要はないと思う。

2 厚さ

Broad band は 10 mm、narrow band は 15 mm とする。 後者については、15 mm で可能なことを朝日分光に確認した。

3 色ガラスの組合せ


SDSS 用として、以下の組合せを用いる。

バンド                 色ガラス                    合計の厚さ 

u' KG5 (4mm) + UG5 (3mm) + SES (3mm) 10mm
g' BG38 (4mm) + GG400 (3mm) + BK7 (3mm) 10mm
r' OG550 (4mm) + BK7 (3mm) + BK7 (3mm) 10mm
i' RG695 (4mm) + BK7 (3mm) + BK7 (3mm) 10mm
z' RG830 (4mm) + BK7 (3mm) + BK7 (3mm) 10mm


SES は UV 透過の石英ガラスである。
u' は SDSS のものと厳密には一致しない。というのは、SDSS の u' バンドフィルターには 1 mm 厚の色ガラスを 2 枚使うのだが、 200 mm 角の色ガラスを 1 mm という薄さで使うのは難しい からである。

4 製作順序と値段


今年度は u' を (1 枚) 作る。u' は最も難しい。 製作費は 188 万円。ただし、これは上限値であり (というのは、最終見積りはまだ取れていない)、 これより上がることはない。 蒸着の成功率を考慮して、硝材の枚数や研磨の回数を 増やしたことが高額になった原因。