SDSS の概要

スローン・デジタルスカイサーベイは画期的な「宇宙の地図」を作る プロジェクトで、日本のグループとシカゴ大学・プリンストン大学など 米国の 7 つの研究機関が共同で推進しています。 口径 2.5m の広視野専用望遠鏡に今までに例のない 大型モザイク CCD カメラと多天体同時分光器を搭載して、 世界に並ぶもののない、宇宙の大規模なサーベイ観測 を行ないます。超大型モザイク CCD カメラにより、北銀極を中心とする全天の 約 1/4 の範囲を 5 色の光で撮像をします(撮像モード)。明るさにして 約23等級(満月の 100 兆分の 1 の明るさ)までの天体が約 2 億個写ることに なります(ほぼ半分が銀河,残り半分は星)。 このうち明るい銀河約 100 万個とクエーサー約 10 万個については、 多天体同時分光器でスペクトルを取得し距離決定を行います(分光モード)。 また SDSS では、2.5m の広視野望遠鏡の傍らにある直径 20 インチの 監視望遠鏡を使って大気による光の吸収の状態を絶えず調べ、 天体の明るさを高い精度で測定します。 観測期間全体としては約 5 年間を予定しており、完成の暁には データの主要部(約 200 ギガバイトの画像と約 10 ギガバイトのカタログ) は人類共通の知的財産として全世界に公開されることになっています。

期待される成果

SDSS が完了すると、これまでに公開されたカタログに比べ、銀河の数で 比較すると、撮像データで約 1000 倍、分光データで約 20 倍となり、 クェーサー数も約 10 倍近く増え、桁はずれに大きいデータベースが 構築されることになります。 このような大規模なデータベースは、天文学の多くの研究にさまざまなインパクト を与えます。 分光観測によって距離が決定された約 100 万個の銀河のデータをもとに、 約 25 億光年彼方までの宇宙地図を作成することができます。 とりわけ大きな学問成果が期待されているのは、1980 年代より調べられて きた宇宙の大規模構造の様子が非常に高い精度で測定でき、我々の宇宙がどのように 進化してきたのかについての重要なデータが得られることです。 また様々な形態をした銀河の性質や、非常に遠方にあるクエーサーについての 多くの知見をもたらしてくれることが期待されています。