銀河進化や宇宙再電離に興味があります。特に銀河における「ガス循環」の観点から、星間物質 (ISM) 銀河周辺物質 (CGM)、銀河間物質 (IGM) に着目し、銀河とこうした物質の関係を観測的に、まれにシミュレーションデータを使い、研究しています。 また、科学普及や科学教育にも興味があり、様々な活動をしています。詳細は以下をご覧ください。
What's NEW! 私たちの最新の研究成果が東京大学からプレスリリースされました。
最新の CV は こちら(最終更新 2022年5月)
現在の構造形成理論によると、銀河は宇宙空間に広がるフィラメント構造の中で生まれ、フィラメントに沿ってガスを獲得しながら成長します。そのため、銀河の進化過程はその周囲 Mpc にわたり広がる IGM と密接に関係しています。そこで私は IGM-銀河 の関係を流体シミュレーション (Shimizu et al. 2019) と観測データ (Lee et al. 2016, 2018) を用いて研究しています。特に、IGM-銀河 関係の銀河の様々な性質 (質量, 星形成率, 種族) の依存性に着目し系統的に調べました。これらの結果は Momose et al. 2021a, b, c としてまとめています。
銀河とその周辺環境の境界である「ハロー」には、銀河間空間からのガス流入や銀河からのアウトフローによるガス流出の収支が反映されると考えられています。そのためハローガス (CGM) の形状や性質を理解することは、銀河進化を明らかにする上で重要です。CGM の観測的なトレーサーとしては Lyα 輝線がよく用いられています。銀河周囲を Lyα 輝線で深く観測すると銀河より淡く広がった構造されます。これを Lyα ハロー (LAH) と言います。私はこの LAH の広がりや明るさと銀河の関係を調べています (Momose et al. 2014, 2016, 2019)。
銀河の進化は星質量の獲得史とも言えます。星は銀河内の高密度な分子ガス雲の中で誕生するのですが、どのような物理が効いて星形成が促進されているかは様々議論がありました。星形成メカニズムの違いは分子ガスと星形成率面密度間で得られる経験則、Kennicutt-Schmidt (KS) 則の傾きから議論できます (e.g., Silk 1997; Elmegreen 2002; Tan 2000, 2010; Krumholz et al. 2012; Bigiel et al. 2008)。そこで私は近傍銀河において KS 則を用いて星形成のメカニズムと銀河内の環境/構造効果を調べています (Momose et al. 2010, 2013)。
自身の研究以外でもアウトリーチ活動にも興味があり、観望会のスタッフや市民講座の講師も経験しています。